覚えている誕生日が幾つかある。小学生の頃の大親友・金子くんの誕生日もそのひとつだ。
金子くんの家は母子家庭だった。一人でいる時間が長いからか、家にスーファミのソフトが充実していて、彼の家に遊びに行っては一緒にゴエモン2や星のカービィに興じていた。背は低かったけれどサッカーが上手で、それはそれはモテるやつだった。バレンタインにクラスの女子にチョコをもらって、周りにからかわれても嫌な顔一つせず、ホワイトデーにはマシュマロをおかえしに贈っていた。「モテる男は心根から違うのだ」とその時に教わった。毎年10月21日になると、彼のことを思い出す。
今年の10月21日、北野天満宮に伊藤万理華さんの個展を見に行った。初日だから混んでいるかと思ったけれど、時間帯のためか全く並んでなかった。感想としてはもう、兎にも角にも上映されていた短編『トイ』『はじまりか、』の素晴らしさに尽きる。種類が違う2通りの、圧巻のパフォーマンス。空いていたので、何度も繰り返し見ることができて嬉しい。東京にいる伊藤万理華ファンの知り合いの方々を思い出す、ぜひ早いこと何かに収録されてほしい。
その後、友人夫妻の結婚パーティへ。自身が運営している飲食店を中心に「近隣の学生時代からお世話になっている店」など系5店舗の飲み・食べ放題というイベントである。5年ぶりぐらいに会った友人達と酒を飲み交わして、ああ、こういうのが人生のご褒美だと思ったりする。みんな老け込んだり、子供が生まれたり、そのままだったりした。喫煙者が軒並みアイコスやら電子タバコに変わってて、もうダセえのなんのって笑い転げた。
金子君は一年もせずに転校してしまい、それ以来ずっと会っていない。一度だけ年賀状をもらったことがある。今頃どうしてるんだろうか。たまにFacebookとかで検索しているのだけれど、それっぽい人は見つからなかった。アイコスとか吸ってたらおもしろいな。どうしてんのかな、あいつは今。
