ヒマワリ/Helianthus annuus

列車にて遠く見ている向日葵は少年が振る帽子のごとし /寺山修司

少し前から、部屋に花を飾るようになった。きっかけは「例年にまして元気がない」という残念かつ至極切実な問題を解決するためのものだったけれど、試しに買ってきた百合の花がとにかく素晴らしくて、季節の花を飾る習慣をつけようと画策している。百合、紫陽花ときて、夏の花といえば向日葵が浮かんだ。

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様々な国で、向日葵は太陽と関連した名前であることが多い。日本語のヒマワリは「日の位置に合わせて花が回る」ことにちなむという説が広く知られている。同じような意味合いの名前がついている国は多い。もう一つはサンフラワー、ソレイユなど花を「太陽」そのものに見立てた名前である。向日葵といえば、ゴッホの絵画作品が浮かぶ。花瓶に活けられた向日葵を描いた一連の作品で「ゴーギャンとの共同生活を飾るために描いた」旨が書かれた書簡が残っている。ゴッホにとって人生を彩る重要な花だったに違いない。

買ってきた小ぶりな向日葵は、空いた酒瓶に飾ることにした。「向日葵の匂いのする侍」を探すアニメがあったけれど、向日葵特有の匂いがあるのかはよくわからない。僕に数日分の力をくれた後、花弁を落とさず静かに枯れていた。部屋の中で、小さく夏が終わった。

わがシャツを 干さん高さの向日葵は 明日ひらくべし 明日を信ぜん /寺山修司