森田るい『我らコンタクティ』刊行記念イベントに行ってきた(2017/12/2)

森田るいさんによる漫画『我らコンタクティ』がとても面白かった。宇宙で映画を上映するために、ロケットを飛ばす2人、その周りの人々の話。単行本一冊で完結しているので、興味があれば是非。

afternoon.moae.jp

読み終わり、面白かったなあと振り返っていると、京都でイベントが行われることを知り、行ってみた。会場は劇中に同名のお店が登場する「みず色クラブ」である。作者の森田るいさんは、この「みず色クラブ」立ち上げメンバーなのだそうだ。

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読んでいる最中に一番気になっていた、劇中に登場する映画は、サンリオの「アフリカ物語」らしい。

森田るいさんが特に思い入れのある映画というわけではなく「かずきが好きそうな映画」というチョイスなのだそうだ。本人が宇宙に向けて上映したいタイトルとしては「ムーンライズ・キングダム」「カリフォルニア・ガールズ」あたりをあげていた。森田さんは映画好きで、映画館で働いていたそうだ。そんな折、映画館に置いてあった雑誌で、尊敬する「萩尾望都」さんが審査員を務める漫画賞があると知り、周りに焚きつけられて漫画を描き、応募したのが受賞作となったらしい(すげえよ)。大学では現代美術として、テラリウムや「パンで重いものを持ち上げる装置」などを作っていたとか。帯を誰に書いてもらいたいか話している際に、ずっと憧れだった萩尾望都さんの名前を出したら、いろんな縁で書いてもらえることになったそうだ。好きな物事について積極的に伝えていくのは大事なことである。

聞いていて意外だったのは「絵のタッチ」についてで、個性を消そうとしてこの絵柄となったそうだ。以前に書かれた同人誌を読むと、たしかにもっと癖の強い絵だった。この同人誌もまた、文明が滅んだ後に映画(のび太と夢幻三剣士!)を上映する話だった。

最後に質疑応答があったので、カナエとかずきが公園でUFOと出会う場面について聞いてみた。ここの場面について描いた「第0話」とでも呼ぶべき前日譚があったそうで、それがどんな話だったのか気になったのだった。だいたいこんな感じらしい。

小学校で映画「アフリカ物語」の鑑賞会が行われた。この映画をいたく気に入ったかずきは、劇中の真似をしたくなり、飼育小屋の動物を全部出してしまう。飼育委員だった(という話だった気がする)カナエは動物を中に戻すが、その際にお気に入りだったスカートを汚してしまう。怒ったカナエは「お前なんてもう学校来るな」と言ってしまう。次の日、学校にかずきがこなくて、自分のせいだと怖くなったカナエは謝りに行こうとするが、途中で止めてしまう。そうしていると公園で偶然かずきに出会う。謝ろうとまごまごしていると、二人は光に包まれ……

「今思うと、つまらないので削ってよかった」とおっしゃっていたけれど、これはこれで読んでみたかった気がする。聞けてよかったなあ。最後にサインをもらったのだけれど、その場で一人一人違う図案を考えてサインしてくださった。優しくて素敵な方だった。

これももらえました。ウフフ


我らコンタクティ (アフタヌーンコミックス)

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