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まだ喉笛は燃えているか

悪い風邪を引いたみたいで、ずっと喉が熱い。

小学生の頃、喉を焼いてしまって、一週間だけ入院していたことがある。声がうまく出せなくなった。治り切ったはずの今でも、どこか本当の声じゃない気がしている。子供の時分、入院生活は暇で暇で、テレビを見ようにもプリペイドカードが必要で、お見舞いでもらった本を読みきった後は国語辞典を読み続けた。入院生活最後の日の献立がカレーで、今でもカレーを食べるたびになんとなくその頃を思い出す。

仕事を1時間早く切り上げ、帰路で寒空を喉に取り込む。冷たい水を買って、飲みながら歩く。気づけば5時間も歩いていた。いつまで京都にいるかわからないなと思う。大好きな街だけれど、思い出が増えすぎた気がしている。それは何一つ、悪いことではないよな。

呪いを解く話が好きで、傷が治った話が好きで、一年間歩いてきた。「呪いを解く」という言葉が最近流行っていて少しだけ淋しい。これだって何一つ悪いことじゃないはずなんだけど。

吸い込む冬の京都で頭を冷やす。ただただ熱を持った塊として、ゴジラのように街を歩く。まだ喉笛は燃えているか。