昔書いた絵本原作が出てきた。
なるべく七五調にしていて偉い。
大きな大きなその街に 小さな本屋がありました。 そこには素敵な本ばかり。 ここにしかない本ばかり。 今日も誰かがやってきて 若い店主のオススメに 満足しては帰ってく あるお客さんは言いました。 「わたしはとても忙しく 眠る時間もない始末 そんな私にお似合いの 素敵な本を一つくれ」 本屋さんは答えます 「ちょうど良いのがございます 忙しい人にぴったりと 文字が無いのに雄弁な 眠りの果ての風景画」 「ああこの一冊に逢いたくて 私は今日まで起きてきた これをもらうよ本屋さん 眠れたときにはまた来ます」 ~~~~~~~~~~~~~~ 次のお客はお婆さん。 「もしもしお若い本屋さん。 本をひとつ見せてくれ 好きな本は数あれど いまや心にひびかない 心も年をとってきた 私を揺さぶる本をくれ」 本屋さんは答えます。 「それは悲しいことでしょう 好きなものも色あせた 貴方は朝日をみるべきです。 これは遠い遠い国 何百年も先の日の 過去になりゆく未来の書 昇る朝日の行き先を 読んでみては如何でしょう」 「ああなんて分厚い本! それ程までに先の日は 書くべき事が起こるのね 私もそれをみてみたい これをもらうわ本屋さん 未来が来たら、また来ます」 ~~~~~~~~~~~~ ときにはつまらぬ 客も来ます そんな相手も なれたもの 「これこれそこの若いヤツ このみずぼらしい店内に 『女を従わせる本』ないか まったく女は身勝手で 私の下につきやしない そういう本があるのなら 四の五のいわずに出してみろ」 これには本屋もわるだくみ 「なるほど苦労してますね お顔を観れば わかります きっとそれなら街一番 大きい本屋にあるでしょう あの本屋の棚の内 『ファンタジィ』のところを探しましょう」 【以下省略】