失物

かつて、レンタルビデオ屋というのがあって

大学生のころ通っていたレンタルビデオ店が、今月いっぱいでなくなると聞いた。青天の霹靂、という訳ではない。多くのTSUTAYA実店舗をはじめ、レンタルビデオ店が次々と閉店している。何か見たい映画があっても、今やNetflixやプライムビデオで事足りるし、…

京都みなみ会館で『太陽を盗んだ男』を観た

京都駅を少し南へ下った所に、京都みなみ会館という映画館があった。1963年に営業を始めた、スクリーン1つの小さな映画館である。建物の1階がパチンコ屋だった名残で、外にはその店名「ラスベガス」と書かれた大きな看板が備わっている。 地元民に愛された映…

左耳

イヤフォンがぶっ壊れているのを忘れていた。一度高級なやつを買ったものの、すぐ壊れてしまったので、なんとなく安いものを買って使っている。最近はiPhoneに付属してたやつをずっと使っていた。音楽は好きだけれど、移動中、仕事中に聴く音楽にそこまで音…

何も伝えられなかった僕らにとって。宇多田ヒカル「Fantôme」に寄せて

店頭でCDを手に取った瞬間、その物理的な重さに驚いた。歌詞カードが分厚くケースがしっかりしている。先行配信されていた3曲から、きっと内容についても重い作品になるのだろうなと思っていた。 絞られた音数、らしさを感じるメロディのリズム構成、そして…

真っ赤に塗って嘘にした

「密室の恐怖実験」という映画のメインテーマをよく口笛で吹いている。キル・ビルの中で印象的な使われ方をしていた曲で、曲名を調べてびっくりしたものだった。 口笛は子供の頃、湯船に浸かりながら父親に教えてもらった。音が出るまで何日かかかったように…

「マージャンパイは押入れ 背広のうら」

古道具屋は面白い。誰かが使っていたものや新古品で流れてきたもの、それぞれの来歴に想いを馳せ、妄想し、耳と目を傾けることができる。耳を傾けすぎたせいで置き場所のない椅子や使いどころのない机を買ってしまうのも一興である。そういったものを掴まさ…

言葉よりはやく気持ちより熱く夜を照らして消える花火に

100円で50本入りの線香花火を2セット買った記憶が蘇った

夏の終わり

森山直太朗さんの「夏の終わり」が好きで好きで、年中聞いている

お祝いと呪いと、お祈りと。

かれこれ、10年ぐらい身につけていた指輪をなくした。いくつかの偶然が重なって手元にきたので、いつか偶然失ってしまうような気がしていた。10年持ったんだから大したものだと思う。毎日身につけているものや日課は、祈りに似ていて、次第に呪いの色を帯び…