はだし散歩入門

コンビニでビールを買う。スマホを眺めて、帰り道に聞く曲を選ぶ。いつの間にかコンビニは日常に溶け込んでいて、携帯がなかった頃どうしてたかなんて忘れてしまいそうだ。音楽の好みはあまり変わっていないけれど、幅は広がっているのは豊かなことだと思う。

もう少し夜を満喫したいときは「はだし散歩」で家まで帰ることが多い。だらしなく涼しい夜は、はだし散歩にこそふさわしい。今回はこの「はだし散歩」を死なない杯に捧げる。

1.はだしになる

サンダルで出かけるような気候が、はだし散歩にもってこいだ。サンダルを脱いで手に持てばほら、はだし散歩が始まる。これは自慢なんですが僕のサンダル超かっこいいので見て。keenのuneekというモデルの初期カラーです。

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2.はだし散歩

はだしになって歩き出せば、世界は一変する。くすぐったい夜の温度が足の裏から伝わってくる。はだしで散歩をすると、知っている道の知らない一面が見えてくる。地面の温度湿度の違いや、白線の厚さ、地面の起伏。足の裏が感覚器だったことを、靴が守っていてくれた事を思い出す。危ないものを踏まないように、足元に注意を払うことになる。

夜の音を聞きながら歩いても良いし、お気に入りのプレイリストを用意しておくのも良い。spitz『夜を駆ける』やキリンジ『エイリアンズ』『Drifter』、きのこ帝国『クロノスタシス』や『チュニジアの夜』なんかも良いですね。majikoの『ノクチルカの夜』って曲がおすすめなので貼っておきます。

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日々を繰り返していると、いつも歩く景色についてさまざまなものが省略されていく。日常の「コース」が日々変化している事を知り、日常の解像度をあげていくことが、より日々を楽しむコツのひとつであるような気がしている。

3.帰ってきたら

足を洗おう。慣用句ではなく、そのままの意味で。
足裏の汚れ方を確認することは、その日のはだし散歩を振り返る材料になります。この禊が終わればあとはもう普段の日常ですが、きっと今までと世界の見え方が違うはず。

副作用としては靴下を履く事がより億劫になります。かわいい靴下とか買いましょう。SOUSOUのやつがおすすめです。歩く事はきっとあなたを、自分が思っているより遠くまで連れて行ってくれます。日常で、旅先で、何か美しいものに出会ったら教えてください。

大地を一歩一歩踏みつけて、手を振って、いい気分で、進まねばならぬ。急がずに、休まずに。

志賀直哉「暗夜行路」